ふりかえり/ こどもの力(2)

今回の学習支援付き保養プログラムの中では新たな試みがいくつかありました。

そのひとつが専門医と一緒に行う個人面談でした。

受験をひかえた思春期のお子さんのメンタルケアを目的に5日目の夜から実施しましたが、予想以上に参加生一人一人が自分のことをじっくり話してくれました。

 

小児科医で児童精神科医のベテラン医師の北川恵以子先生がメンタルケアを担当され、つばさ責任者のみかみがサブにつく方法で行いましたが、札幌に到着したオリエンテーションの時から毎日北川先生には夕食をはさんだ時間帯に来ていただき、一緒にご飯を食べて子ども達と顔なじみになっていただく時間をとり、参加生が合宿生活に慣れてきた頃から個人面談を開始したことも心を開いて話す子どもが多かった要素のひとつになったとふりかえっています。

 

震災前からの悩み、震災以降に次々起こった出来ごとに振り回されてきた悩み、今つばさに参加していての悩み、等々、一人の心にのしかかっている内容は様々でした。専門医とつばさの責任者がじっくり悩みを聞いてあげること、健康面を考えながらのアドバイスをすること、つばさの残りの日々の中で改善できることをその場で一緒に話し合うこと、そういう時間を作ってみた訳ですが、部屋を立ち去る時には子どもの表情が明るくなっているので逆にこちらが励まされる思いでした。

 

個人面談以外の時にも夜間の自由時間になると時々スタッフルームにやって来る参加生がいました。

問題をなんとか自分自身で主体的に考えながら解決していきたい様子がみえて、この二週間で何かが変わっていくのだろうと感じました。

 

 

今年の参加生12名は2011年3月11日のあの日、ほとんどの子ども達は小学校の校舎の中でした。

小学校の最高学年として卒業式を目前に控えて震災に遭いました。

その後、各家庭の事情や判断で三月中はどこかに避難していたり、そのまま自宅に留まったりと様々でした。

四月に入ってから小学校の卒業式が行われたので久しぶりに仲良しと再会できた子がほとんどですが、中には卒業式が行われなかった子もいます。

本来は部活動など色々な夢を持ちながら進む中学校生活ですが、2011年の学校現場自体が放射能汚染問題に右往左往して落ち着きのないものでしたから、つばさ二期生たちの中学校生活は「不安な色合い」の強いスタートとなった訳です。先輩と後輩の関係性もなかなかうまく育まれてはいかなかったと推察します。

 

 

今年の新たな試みのもうひとつが、つばさ一期生に相談役として参加してもらったことでした。

高校1年生になったつばさ一期生の男女各1名ずつに同行してもらって二週間の日々を一緒に過ごしてもらいましたが、二期生たちは皆「先輩!先輩!」と慕って色んなアドバイスをもらっていました。相談役として参加することを引き受けてくれたつばさ一期生の2人は、期間中後輩達の勉強をサポートしてくれたり、高校生活についてのアドバイスをしたり、皆の気持ちを盛り上げたりと本当によくやってくれました。

 

二週間の日々は、有機的な人間関係の何かを育み合える貴重な時間でした。

そういう関係性を紡ぐためには最低二週間という時間が必要な気もします。

14名くらいの人数もほど良いバランスだったかもしれません。

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思春期という大切な成長期にさしかかっている子ども同士は、自分を取り戻す機会が得られるならば、お互いをつぶし合うことなく調和していく力を持っているということにも気付かされました。

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みみをすますプロジェクトは、可愛いお子さん達をわたくし達に委ねてくださった保護者の方達と共に被災地と繋がりながら、未来を育む道を今後も切り開いていきたいと願っています。 全ての子ども達が健やかに暮らせることを祈りつつ・・・。

 

*み*

ふりかえり/こどもの力(1)

子ども達は合宿生活に慣れてくるとそれぞれの持ち味が発揮されはじめ、スタッフとしてはそれを発見することが喜びのひとつになりました。

 

S君は早い段階から自分の特技を披露した人でした。スコーレユウの休み時間にカッターナイフで消しゴム印を彫って見せてくれましたが、カタカナだけでなく、ひらがなもハングル文字も短時間に彫ることが出来る凄い才能の持ち主でした。その器用な指にかかると折り紙の小さな小さな鶴まで登場。折り紙コーナーを開設した大学生ボランティアのお姉さん達もビックリでした。この凄い指先の器用さと表現能力をS君にはぜひ生かして欲しいと思っています。

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K君は馬頭琴のワークショップにとてもはまった1人です。2時間の特訓でしたが、嵯峨さんの上手な導き方でいち早くコツを掴んだK君は「馬頭琴はいくらぐらいで買えますか?」とそっと私に質問するほどでした。休憩時間にK君から「ちょっと弾いてみませんか?!」と声がかかったので私も挑戦してみました。嵯峨さんが教えていた通りのことをK君は上手に私に伝え、太ももで馬頭琴のボディを押さえながら弓で音を奏でてみると、なんとも野太い音色が体全体に響いてきて感動しました。

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K君はついさっき自分が感動したこの身体感覚を私にも分かち合いたかったのだと理解しましたが、彼のこういうセンスはひとつの大事な才能だと思いました。

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学習支援というものは単に受験勉強を指しているのではなく、馬頭琴のワークショップや北大キャンパス訪問などを含め様々経験を重ねていく中から、子ども自身が自分の力に目覚めていく、そのきっかけを創ることなのだという事を子ども達から教えられました。

*み*

ふりかえり/お母さんからのお手紙

つばさの参加生たちが過ごした二週間の日々は、我が子を旅に出したご家族の方達にとっても新たな経験でした。
我が子にふさわしい夏休み企画はないかと被災地のお母さん達は一生懸命情報を探して応募してきました。
しかし、いざ出発となると「私の方が淋しがっています」と仰るお母さんが何人もおられました。
それでもブログの写真やお子さんからの電話の声を聞いて、保護者の方達も少しずつ安心された様子でした。
期間中何度か保護者の方達から直接メールをいただきました。
そして数名のお母さんからはお手紙も届きました。
こんなメール時代に届くお手紙はことさら人の温もりを感じますし、それぞれの方の個性にも感じ入りました。
つばさ一期生のお母さん達からはご寄付もいただきました。改めて感謝申します。
*み*
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むすびばの皆様へ
残暑お見舞い申し上げます。
この度は、つばさ二期生を受け入れて下さり、心より感謝申し上げます。
日々更新されるブログを読みながら、皆様の元へお預けして良かったと感じています。
昨日用事があり公民館に行きました。
ロビーには沢山の小学生や中学生で溢れていたので、公民館主催の体験会でもあるのかなと思いました。
実は公民館のロビーを待ち合わせ場所にして、恒例の夏祭りに行く子ども達でした。
ここに住み、お盆のささやかな夏祭りを楽しみにしている現実と、ブログから見えてくるつばさの子ども達が体験中の様々な事柄・・・
どちらも同じ中学生であり今を生きています。
この違いは何なのかを感じながら、つばさの子ども達が見て感じて体験したことが、一生の宝となり、次世代への希望となるよう祈ります。
今日15日は、北大キャンパスを歩くとか・・・。
200歳のハルニレの木は、子ども達に何を伝えてくれるのかな。
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今回は大変お世話になりました。
北海道に旅立つ前は娘は不安なのか、口をきいてくれない日もありました。
でも少しずつ落ち着いてきたところで、前日に倒れるというハプニングもあり、
私も娘も不安だらけの出発でしたが、ブログを見て、本当に安心することができました。
沢山の方々に関わって協力して頂き、娘もつばさのみんなも本当に幸せ者だと思います。
私も参加したかったくらいです。
この間、電話で娘と話した時、ものすごく口数が増えた事に驚きました。
さあ、どんなふうに成長してきたか、とても楽しみで仕方ありません。
本当に本当に本当に、
どうもありがとうございました。
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近頃の息子をみていると
「私の手を離れていくのだなぁ」
と思うようになりました。
”次にはばたくつばさの若者に”
少しお役にたてましたら
素敵な出会いをもった私どものように・・・
(ご寄付いただいたつばさ一期生のお母さんより)

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8月20日 最終日/つばさ二週間合宿終了

つばさ二期生12名と相談役の一期生2名、合計14名の子ども達は全員家路に向かい、二週間の合宿は無事終了しました。

 

家路につく子ども達に今一度伝えたかったことがあり、福島駅前で全員に話しました。

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今回の二週間の合宿は、単に受験勉強をしに行ったのではありません。

あなた達は、人としての生き方を学びにいったのです。

今はその意味がよく理解出来ないかもしれませんが、心に蒔かれた種はやがて芽吹く時がくるでしょう。

その日をどうか楽しみに、自分を大事に生きて下さい。

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帰宅して落ち着いてからつばさの皆はブログを読んで二週間の日々をゆっくり思い出すことでしょう。

 

ノートルダム清心学園理事長の渡辺和子さんは著書「置かれた場所で咲きなさい」の中でこう語っています。

 いい出会いにするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならない。

出会っただけでは信頼関係を結べない。「このご縁を大事にしよう」という気持ちを育てていこう。

 

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つばさの二期生やご家族の方達と北海道の人達とのこうした出会いをぜひじっくりと育てていきたいものです。

 

つばさの参加生は全員無事保護者の方達と家路につきました。

支えて頂いた多くの方達に感謝を込めてご報告いたします。

 

郡山駅前にて。

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*み*

8月20日 最終日/福島駅組解散

雨の中、バスは安全運転で走行し、少し遅れて最初の解散場所の福島駅前に到着しました。

 

ここで8名とお別れです。

 

出迎えてくれたお父さんやお母さんが見守る中、つばさ最終ミーティングをしました。

前回の司会者から指名されたNさんが前に出て司会進行。

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1人1人が合宿の感想をのべ皆で拍手。

司会者には恒例の3つの扉も行われ、全員でこれまた最後の集合写真を撮影しました。

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本当に名残惜しい気持ちをかみしめながらバスは郡山駅に出発し、見送る8名は大きな声で手を振ってくれました。

 

*み*

8月20日 最終日/バスの中

小雨が降る中、バスは名取の街を抜け福島に向かっています。

昨年同様復路の車内は皆極端に口数が少なくなります。

 

久しぶりの我が家に帰りたい気持ちと、まだまだ一緒にいたい気持ちが混ざり合う車内の空気はだんだん重たくなっています。

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*み*

8月20日 最終日/仙台港到着

きたかみは無事本州の大地に接岸。

親切にして下さったおじさん達ともお別れです。

復路は見事な夕焼けや美しい洋上の月、そして親切な方達に恵まれ旅情を感じる船旅でした。

残念ながら仙台は雨。重たい荷物を沢山持って下船した皆は、バスで福島県に向かいます。

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*み*

8月20日(火)最終日/船旅

ついに最終日の朝がきました。

つばさは全員で7時半から朝ご飯。もう端っこの人が「いただきます!」を言う食事スタイルはお終いで、船の上はひたすら社会勉強の世界です。

 

復路の船室は大部屋。

見知らぬ方達とご一緒する訳ですから、荷物の置き方などマナーを一つ一つ勉強する良い機会です。

女子達と頭合わせになるおじさん達が「いいかい、布団をズラして頭の境にトランクを置くと壁が出来て気にならないで寝られるよ!」とアドバイス。

「なるほど〜!」。 女子達は直ぐおじさんのアドバイスに従いました。

「わ、ヤバい!コンセントが全然ない!」。

思わず叫ぶつばさの女子におじさんグループの一人が沢山繋げられるコードを貸して下さいました。

持ちつ持たれつ労りつつ。

「男はつらいよ」の寅さんを思い出す船旅の夜が明けました。

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*み*

8月19日 復路出航です。

19時、 つばさの皆を乗せ、きたかみはいよいよ出航します。 甲板にはヨハン・シュトラウスのウィンナーワルツが流れ、つばさの女子達の笑い声が響きます。

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大きな月が輝く海原に向け、船は静かに出航しました。

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皆、少しずつ思い出をかみしめる美しい月の海です。

*み*

8月19日「また会おうね!」「元気でね!」

いよいよ北海道とお別れの時がきました。

苫小牧港フェリーターミナルには、スコーレユウのキムさんと朝日さんが見送りに来てくれました。

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2週間、学習はもとよりいろんな体験ができたつばさの仲間たちは、疲れも見せず、元気に乗船しました。

船上からいつまでも手を振るつばさの仲間たち。

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女子軍団は、またまたデッキの上でパフォーマンスです。

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みんなひとりひとり、いい子ばかりでした。

「また会おうね!」「元気でね」
(富)

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